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2016 / 02 / 20 Sat
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King Charles ~前編~

シカゴ・フットワークの牽引者King Charlesに行ったインタビューをお届けしよう。シカゴ・フットワークとは、ジューク/フットワークというハウスよりも早いBPMのダンスミュージックと共に進化してきたダンスであり、ビバップのような高速ステップにハウスのようなグルーヴが組み合わされた、新しいダンス(下記動画参照)。それを世界的なものにしたKing Charlesの200%の情熱と軌跡。前編は善と悪が共存するシカゴで生まれたシカゴ・フットワークと彼自身のヒストリーを振り返ってもらった。

  • King Charles(キング・チャールズ)
    King Charles 繧「繝シ蜀・Bulls)
    シカゴ(米)のサウスサイドに生まれ育ち14 歳の時にフットワークと出会いシカゴ・フットワーク の世界に目覚める。 翌年15 歳には仲間同士で ジュークシーンをフットワークで代表するためフットワーククルー「Creation」を設立。そんな中フットワーククルーの歴史的王者 FootworKINGz にてアーティスティックディレクターに任命されシカゴだけではなく、全米、後世界で名を広めるようになる。今となっては世界各国にメンバーを持つ「Creation Global」の統括としティーチングはもちろん、フットワークイベント企画、パフォーマンスなどにもフォーカスを起き活躍。世界一のシカゴ・フットワーカーとして名を広め続けながら、シカゴフットワークと言うジャンルの理解を世界で深めるべく日々世界を飛び回っている。その凄さはストリートだけでは無く芸能でも明らか。ミュージックビデオやコンサートの経歴にはマドンナの“Sticky & Sweet” ワールドツアー、ウィロー・スミスの“Fireball”のミュージックビデオ、2011 年Teen Choice 賞で Will.I.Am などとも共演。そしてC2C「HAPPY」のPV 振り付けなども担当。最近ではグラミー賞でKaty Perryとの共同振付けなどもこなしている。さらに世界大会のバトルへの参加やジャッジとしての経歴も華やかである。

  • CREATION GLOBAL (クリエーション・グローバル) 
    シカゴ・フットワークの伝道師キングチャールズ率いるシカゴフットワークのプロフェッショナルチーム。
    その始まりは2001年シカゴで結成されたクリエーションというクルーになる。その後キングチャールズがシカゴより外に活動を広げ、世界的にWSやショーをしたことから、CREATION GLOBALという指導やショーにより目を向け、国際的なシカゴフットワークの集団を作ることを決意し始動した。シカゴフットワークを世界に広めるべくバトルのみでなくティーチング、パフォーマンスにもフォーカスをし、現在キングチャールズをリー
    ダーとしてファミリーのそれぞれがカルチャー普及に尽力している。

[YouTube] King Charles x Creation Global x Artefakt Chicago
高速な足さばき、常に引きあがっている体幹とボディ全体の複合的な動きでビート一つ一つを踏み刻む。瞬時の遊び心が楽しい。

 

取り組みたい事を信じることができれば、必ず”一貫性”を持ってできる。

TDM まず、あなたの仕事に向き合うスタンスとして大切にしていることを教えてください。

 

King Charles 自分が幸せだと感じることをすることが大切だと思う。恐れずにね。趣味を仕事にしちゃえば良いんだよ。でも、本当にそうしたいと願うなら、一生懸命取り組まないといけない。特に最初は、誰よりも一生懸命にならなきゃいけない。50%の取り組みじゃダメなんだ。アメリカにはダンスを愛する多くのダンサーがいるけど、彼らはダンス以外の仕事をしている。だから、ダンスにかける取り組みが50%だったり75%になってしまっている。それじゃダメだね。200%を注ぎ込まなきゃ。そうすることで、ダンスを仕事にすることができるんだよ。オレ自身 ダンスを職業にしてから9年目だけど、最初は本当に大変だった。

今ではたくさんの人に認識してもらえるようになったけど、最初の頃はオレのことなんて誰も知らないし。だからこそ、自分を存分にプロモートする必要があったし、そこから自分の名前を築いたんだ。一生懸命取り組むことで、築いた名前は永遠に残ることができる。それによって、クラスで教えたり、コリオグラフを任されたり、バトルやショーができるようになって、仕事として確立する。そうなると、最高に幸せだろ?オレはハッピーだよ。この間、LAの友達と話していたんだけど、まずはクラブに行ったら、自分を一生懸命売り込んで、バトルに参加したり、ショーケースをすること。そして、その後は、必ず人と会話を持つことだ。電話番号を交換して、関係を良好に保つことで、コネクションが増えていく。静かにしていてはダメだよ。ダンス業界の人間全員と話すくらいの勢いでいかなきゃ。

オレはそうやって コネクションを築いてきたんだ。2007年のマドンナのツアーのとき、NYに8ヶ月住んだけど、少数の友達と毎晩クラブに行って、いろんな人と出会ったんだ。毎晩だよ。彼らは、一生懸命になっている若かったオレをしっかりと見ていてくれたんだ。

TDM
 そのスタンスを築くのに大切にしていることは何ですか?

King Charles
これはパーフェクトなプランだよ。ダンサーの中には、考えすぎてしまうヤツらもいる。“ここで踊りたいな、でも、この場所だと嫌だな”とか、そんなことを気にせずに、どこでだって踊ればいいんだよ。自分の仕事を愛しているなら、みんなにそれを見せなきゃ。オレの初めてのスタイルはシカゴ・フットワークだけど、他にはグルーヴもあるんだ。子供の頃から、MCハマーやボビー・ブラウン、ニューエディションのミュージックビデオや、映画『HOUSE PARTY』をよく観ていたよ。

■音楽を愛する家族、そして善と悪の表裏一体のシカゴという街。

TDM あなたは、誰から一番影響を受けていると思いますか?

King Charles 最初は家族からの影響が大きかったね。うちは大家族で、オレの父親は8人兄妹の長男で、母親は4人兄妹なんだ。父親はジャズ、ファンク、R&Bのギタリストで、毎週3~4回 ショーがあるんだ。シカゴだけじゃなく、フランスでライブしたこともあるよ。シカゴに住んでいて、ギタリストとしてのキャリアは25年になるよ。母親はシンガーで、彼女の弟(チャールズにとっては叔父)はベーシスト。妹(叔母)はバックアップシンガー。一番下の弟(叔父)はドラマーで、家族バンドをやってた。オレの父親はギタリストで、ロナルド伯父さんとデビット伯父さんはドラマー。伯母の一人はサックス奏者、他の伯母たちもバックアップシンガーをやっているんだ。だから、父方・母方、共にバンド経験者。母方のバンドが解散した後は、母が父方のバンドに移籍したりなんかして、お互いを長く知ってるよ。母親が父親に歌い方を教えたりして、レーベルと契約寸前までいったんだけど、当時はオリジナルの曲を演奏するバンドではなく、カバー曲バンドだったので、レーベルとの契約は頓挫しちゃったんだ。その後は、みんなそれぞれの人生を生きて、オレの両親はオレを身籠ったんだ。毎年クリスマスには、おばあちゃんの家にみんなで集まって、親たちは子供たちにパフォーマンスさせるんだ。4~5歳の頃からパフォーマンスしていたんだよ。多くの子供(彼の従兄弟たち)はパフォーマンスするのを嫌がったけど、オレはいつだってハッピーだったよ。だから、人前に出てパフォーマンスするという行為は、オレの家族にとってはごく普通のことなんだ。

15歳の頃、初めてシカゴ・フットワークを目にしたとき、カワイイ女の子たちにモテたくて学びたいと思ったんだ(笑)。パーティーに行って、かっこいいフットワークを披露したら 女の子たちにモテるからね。それが何よりも大事だった!(笑) シカゴ・フットワークができたら“カッコイイ”認定だからね。他に影響を受けたのはシカゴという街かな。シカゴ・フットワークはオレによって始まったものではなくて、オレは第三世代にあたるんだ。オレとオレの世代によって、ようやく世界を見ることができている。オレの前の世代のシカゴ・フットワークのことは、シカゴ以外の人間は知らないと思う。なぜなら、シカゴという街自体のカルチャーが、善と悪の表裏一体だからだ。暴力が蔓延していて、シカゴ・フットワークが職業になるなんて誰も思わなかったからね。カルチャーとしては存在できていたけどね。何年にも渡ってそうだった。だから、オレはそれを変えたかったんだ。

■FootworKINGz, Creation, Creation Globalとは

TDM 今後のビジネスのヴィジョンを教えてください。

King Charles
p02オレのクルー、Creation Globalを、シカゴ・フットワークの世界コネクションになるように確立していきたい。だから、Creation Globalというカンパニーで、世界中にスクールやグループを作っていきたいと思ってる。Creation Globalで世界展開したら、世界中でシカゴ・フットワークを教えることができるし、各国にスタッフを置くことで、お互いにネットワークが広がるだろ?将来的には、LAにダンススタジオを持ちたいね。そうすることで、海外のクルーがLAに来る際はクラスを持つことができるようになるし、Creation Globalのダンサーが日本に行く際は、彼らがその国でクラスを持つことができるからね。シカゴ・フットワークの認知度は世界規模になると思うんだ。オレ個人の力だけで実現できることは限られている。だから、家族やチーム、現地法人が必要なんだよ。

現時点でCreation Globalは、メンバーの出身国であるアメリカ、日本、ポーランドにあるから、だからもっと増やしていきたいと思うね。オレは自分のクルーに幸せな生活を送って欲しいと願っているし、彼らはオレを信用してくれていたから、シカゴ・フットワークが職業になるということを証明するために一生懸命頑張ったよ。彼らにそれを証明することができたし、今では外国人のクルーもいるんだよ。メンバーに“日本人だけど、オレたちと同じクルーの一員だ”って見せることで、将来的にまた違ったプランを立てることができたり、アイディアが湧いてくるだろ。それが現時点でのモチベーションだね。ダンサーとしては、Brian Green(ブライアン・グリーン)やBuddha Stretch (ブッダ・ストレッチ)みたいになりたいと思う。彼らはいろんなスタイルをやるからね。

TDM
前にあなたが在籍していたFootworKINGzとしてはどれくらい活動していたんですか?

 

King Charles
FootworKINGzは2007年に結成されて、今は休止中なんだ。FootworKINGzは、オレのグループ、Creationから生まれたもので、Lady Sol (レディ・ソー)がシカゴをサポートするために、他のグループからもメンバーを集めてFootworKINGzを作った。FootworKINGzは、複数のグループからの精鋭メンバーが集まって作られた初めてのグループだったから、最初は、メンバー同士ライバル心が強くて大変だったよ。でも、オレはリーダーとしての役目に集中した。それから切磋琢磨してみんなで成長していったものの、メンバーのライフスタイルがFootworKINGzにとって相応しいとは言えないものもあって、そういうメンバーを外す必要もあった。メンバーを外す度に、オレはCreationに重きをおくようになって、そこのメンバーをFootworKINGzに補てんするようになった。これはレディ・ソーのカンパニーだから、メンバーが必要な際はCreationから選んでくれて構わないと伝えたよ。他のチームだって同じことができたと思うけど、実際に行動に移したかどうかはわからないね。オレとレディ・ソーの関係は良好だから、たくさんのクリエーションメンバーが引き抜かれたよ。

2011年頃には、FootworKINGzの9割はCreationのメンバーで構成されていた。でも、オレたちは他のグループに比べて練習方法が違っていて、オレは常に未来を見据えてメンバーをトレーニングしていた。オレのグループは、オレにとっての人生における目的のひとつだから。オレは、Creationは、人の役に立つために神によって与えられたものだと信じているよ。だって、これはただのダンスではなくて、人生そのものだからね。Creationが重視するのは、スキルよりも人柄なんだ。でも、新しいメンバーを探している多くの人が求めるのはスキルで、人柄は二の次なんだよな。オレは、テクニックは無くても人間性が素晴らしい人の方が良いと信じてるよ。Creationは来年15周年を迎えるんだけど、その間に200人以上をクビにしたんだ。・・・ま、ちょっと大袈裟に言ってるけどね(笑)。

リーダーを育み、世界への踏み出し方を伝える。

TDM
あなたのクルーにはどういう人柄を求めていますか?

King Charles 謙虚で、学ぶことに対して・・・
後編に続く

Creation Global出演イベント「GALLERY vol.10」

 interview & photo by Akiko
translation by sassyism

’16/02/19 UPDATE

記事元:トウキョウダンスマガジン


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